月刊誌 指導と評価

2014年 3月号
  1. 2014年 3月号 Vol.60-3 No.711  定価:450円
特集
学びの形態を工夫する
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特集

学びの形態と近年の考え方-協同学習に注目して

中京大学教授  杉江修治

★授業改善は、特定の学習形態に固執するというスタイルから始めるべきではない。教材や児童生徒の様子などに応じた教師の応用的な意思決定を生かすべきである。
★一斉、個別、グループといった形態には長所、短所がある。適切な組合せにより、それぞれ生かすことができる形態である。
★協同学習は学習形態ではなく、授業の進め方の基本的な考え方の理論である。理論を踏まえたグループ活用を学ぶ必要がある。ここではいくつかの事例を紹介した。
★習熟度別指導のポイントは、習熟の程度に応じた工夫というところであり、さまざまな形態の工夫が可能なはずである。協同的な学級経営を前提にすることが有意義でもある。

《指導事項《交流」》が求める共同学習-国語における学びの形態の工夫

秀明大学教授  今村久二

★国語科の共同学習は、前次の学習指導要領から位置づけられた「伝え合う力を高める」こと、さらに、今次、強化される意味で指導事項として加えられた「交流」の系列を抜きにして語れない。安心して語り合える発語環境を前提に、一人一人の子どもが思考を強化し、拡充し、吟味し合う「協働」「共有」「共創」の目的やその過程を体験的に学ぶ必要がある。形態は機能に従う。固定的な一斉指導では、その機能は発揮されない。新たな、動的な共同学習のあり方を、その背景やめざす考え方、事例をもとに提案する。

算数科の授業における百分の一、27秒を有効に使った協同学習の提案

大阪府堺市立野田小学校長  山本滋基

★問題解決的な授業になっているか。子どもの「問題」になっているかが前提である。
★問題解決的な授業の核になる自力解決のノートが充実していないと、練り上げのある授業は成立しない。
★自分の考えに自信を持つ27秒間の伝え合い 「つぶやきを共有する時間」の大切さ
★子どもたちを授業の中で目線で繋ぐ発表の協同作業 「チームで発表する意識」支えられる子どもたち
★授業を深める場の設定「練り上げの主役は子どもたち」「演出は教師」である。

理科における学びの形態の工夫-授業に協同学習をどう取り入れるか

京都文教大学准教授  大前暁政

★協同学習には、大きく二つの形がある。①ふだんの授業の中で比較的簡単に取り入れられるグループ学習の技法。②子ども主体の問題解決をねらった形でのグループ学習。②は、授業に取り入れる上でいくつかの条件を学習者に満たしておかなくてはならない。協同学習は、個別学習とグループ学習と両方を含む形で行われることが多い。協同学習を充実させることができれば、個別学習もグループ学習も充実していく。本論文では、協同学習を効果的な形で授業に取り入れるための諸条件について紹介した。

社会科における学びの形態の工夫

神奈川県川崎市立宮崎中学校教諭  町田 憲二

★「協同学習」の本質とは、「他者との学び合い」である。「他者との学び合い」を成立させるには、これまで行われてきた「問題解決的な学習」を改善することで十分対応できる。しかしなによりも重要なのは、子どもたち自身に、中学校の社会科学習とは、「基礎知識」の暗記に留まるものではなく、他者との多様な価値観のぶつかり合いを経て、新しい価値を創出することだと学ばせることである。それこそが、学校教育の存在意義なのである。

中学校保健体育科における学習形態の工夫

筑波大学附属中学校教諭  長岡 樹

★学びの形態の選択は個人種目や集団種目といった運動領域や種目ごとに固定的にとらえるのではなく、学習内容や単元内の段階において、目標に向けてどのような学びの形態が最も効果的であるかといった視点から、柔軟に選択する必要がある。同じ運動領域や種目でも、学びの形態は、その組合せやタイミング、時間配分などは目標に応じて変わってくる。
★グループに分けた学びの形態を進めるときは、ペアの2人組やトリオの3人組、4~6名が好ましい。

習熟度別学習の現状ー課題は?配慮することは?成果は?

秋田県湯沢市立稲川中学校教育専門監  倉田一広

★秋田県における特色ある取組の一つに、「教育専門監」によるTTの授業がある。
★十年ほど前に比べ、「習熟度別学習」を取り入れている学校は減ってきている。それは、なぜか。
★「習熟度別学習」について、「学び合い」と「学習意欲」という二つの視点から、課題、配慮すること、成果を考える。
★授業者は、子どもの様子を的確にとらえ、単元計画を弾力的に柔軟に修正していくことも必要ではないか。

連載

特別支援教育のさらなる充実を求めて(11)中学校での取組 神奈川県逗子市教育委員会教育部長
石黒 康夫
学級づくりと特別活動(11)学級通信の作成と連絡帳の工夫 埼玉県東松山市立松山第二小学校長
稲垣孝章
新学習指導要領で教科調査官が求める授業(12)中学校理科-授業時数と内容の増加には「評価に関する事例」を活用して対処する 文部科学省視学官
清原 洋一
文部科学省視学官
杉田 洋
小中学校外国語教育のあり方(12)これからの外国語教育の目的と要点 上智大学教授
吉田研作
小中学校国語の授業づくり(12)中学校「書くこと」(説明)一年生 わかりやすく説明しよう-相手に応じた奈良紹介 奈良教育大学附属中学校教諭
八尋薫子
教材で子どもが輝く小学校社会科の授業(12)「北方領土」から何が見えるか?領土はいろいろな事情で変化することが見える 東北福祉大学特任教授
有田 和正
小学校算数の発展・応用を学ぶ授業をつくる(19)4年 青山学院大学教授
坪田 耕三
小学校理科の授業づくり(24)5年A(1)「物の溶け方」 文部科学省教科調査官
村山哲哉
どうする?小学校図画工作の授業(6)「工作」に見る子どもの学び 筑波大学附属小学校教諭
北川智久
教育測定・統計入門(24)多変数を用いて一つの変数を予測する-重回帰分析 法政大学教授
服部 環
学校の法律問題(12)大規模自然災害と学校の責任 日本女子大学教授
坂田 仰
だんわしつ/教師のメンタルヘルスに役立つ勇気づけ ヒューマン・ギルド代表
岩井俊憲
教育の窓(20)大学入試についての聴き書き 創価大学教授
赤木 愛和
ひとりごと/女々しい男 元公立中学校教諭
吉冨 久人
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