月刊誌 指導と評価

2017年 2月号
  1. 2017年 2月号 Vol.63-2  No.746  定価:450円
特集
教育カウンセリング入門
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特集

教育カウンセリングとは何か

NPO法人日本教育カウンセラー協会会長  國分康孝・NPO法人日本教育カウンセラー協会理事  國分久子

★教育カウンセリングは、心理カウンセリングと共存して教育に役立つ。教育カウンセリングはすべての子どもを対象とし、学級崩壊の予防、友だちづくりなど「個人間」の問題が守備領域である。発達課題(学業・進路・社会性・人格形成・健康)を乗り越えるのを支援するのが主たるねらいである。
★教育カウンセリングは、「積極技法(情報提供・教示・助言・指示・リフレーミング・フィールドワーク・解釈・自己開示・対決)」を用いる傾向がつよい。
★教育カウンセラーは、エビデンスベースに加え、役割を超えた「ひとりの人間」としてふれあい、互いに成長し合える人でありたい。

教育カウンセリングの領域と問題

NPO法人日本教育カウンセラー協会理事  國分久子

★教育カウンセラーの仕事は、子どもたちが学校生活を楽しむことができ、将来の生活を展望できるように、その成長発達を支援することである。そのために、発達課題に注目する。発達課題は、①その年齢の大勢の人が経験する事柄であり、②それがうまく達成できないと社会生活を円滑に送ることができない。学校に通う子どもたちが直面する発達課題は、①学業発達、②進路、③社会性の育成、④人格形成、⑤心身の健康の五つの領域である。ここでは、教育カウンセラーがこれらの領域で具体的にどのような取組をしているのか、『教育カウンセリング研究』『教育カウンセリング学会研究発表大会発表論文集』などに報告された実践を紹介する。

教育カウンセリングの理論

東京成徳大学教授  新井邦二郎

★教育カウンセリングを支える理論や心理学は、ひとつではない。たくさんのカウンセリング理論や心理学が、教育カウンセリングを支える。それゆえ、教育カウンセリングを実践するためには、これらの理論や心理学についての考え方や知識・技術の学習が役に立つ。まず、カウンセリングの主な理論として、①精神分析理論、②自己理論、③行動理論、④論理療法、⑤交流分析、⑥内観、⑦ブリーフ(短期)カウンセリング、⑧遊戯療法、⑨家族療法、⑩実存主義的アプローチ、⑪アドラー理論(アドラー心理学)、⑫構成的グループエンカウンター。また、教育カウンセリングを支える主な心理学として、①発達心理学、②教育心理学、③学校心理学、④健康心理学、⑤ポジティブ心理学、⑥キャリア心理学、⑦臨床心理学、⑧障害児心理学などをあげることができる。

教育カウンセリングの方法とスキル

北海商科大学教授  大友秀人

★教育カウンセリングの方法とスキルは、現段階の教育カウンセラー標準テキストカリキュラムでは、以下の11がある。個別面接、事例研究・スーパービジョン、構成的グループエンカウンター(SGE)、サイコエジュケーション、アサーショントレーニング、ソーシャルスキル教育、キャリアカウンセリング、芸術療法、ピアサポート・ヘルピング、リーダーシップ、コーディネーション。その中でも、とくにSGEは、教育カウンセラー養成講座では必須である。教育カウンセリングの最も大切な方法で、人間関係開発を意図した教育カウンセリングのグループ・アプローチである。

教育カウンセリングの展開と活動

埼玉県教育カウンセラー協会代表  吉田 隆江

★教育カウンセリンは発達課題を解決し、児童・生徒の成長を援助する。そのイメージを描くために、教育カウンセラーとしての私の実践を紹介した。待っているだけではないかかわりや、教師間の調整が特徴である。教育カウンセリングのプロセスの主要なかかわりは、教師と生徒、生徒どうしのリレーションをつくることである。それには「ワンネス」「ウイネス」「アイネス」が大事である。これらは、SGEによって実現可能であると提案する。さらに、本当の問題の把握によって、支援の仕方が見えてくる。個別だけではなく、グループ志向であるのが、教育カウンセリングである。まず、担任として教科担当して、実践してく姿勢を大事にしたい。

連載

学校力・教師力アップセミナー(10)若手教師のやる気を伸ばす 公立学校スクールカウンセラー(元富山県南砺市立福光中部小学校校長)
水上 和夫
QUを活用した学級づくりと個別支援(11)特別支援教育と学級づくり 東京福祉大学准教授
深沢 和彦
特別支援教育のこれから(11)子どもの心理・社会面への援助 大河原美以心理療法研究室室長
大河原美以
教育評価のこれから(11)コンピテンシー・ベースのカリキュラムにおける観点別評価のあり方 神戸松蔭女子学院大学講師
大下卓司
感度を高める言葉の教育(35)接続詞の論理性 神戸松蔭女子学院大学講師
大下卓司
コンピテンシー・ベイスの授業づくり(7)社会的課題の文脈で設定する技術の授業づくりのポイント 信州大学教授
村松浩幸
教えて考えさせる授業(6)小学校の実践事例(2)理科5年「流れる水のはたらき」 岡山市立第二藤田小学校教諭
西本慎一郎
国語の「書くこと」(11)中学校鑑賞文を書く「読み取ったことを役立ててプロに迫る鑑賞文を書こう」―「神奈川沖浪裏」を参考に浮世絵の鑑賞文を書く― お茶の水女子大学附属中学校教諭
市川千恵美
先人に学ぶ「数学的考え方」小学校算数(9)山下昭・橋本吉彦編『進んでいる子を配慮した算数・数学指導』 青山学院大学教授
坪田 耕三
アクティブ・ラーニングで社会科の授業を変える(7)/小学6年歴史人物に歴史事象を語らせる「吹き出し」づくりを中心に据えた授業 東京都墨田区立隅田小学校主幹教諭
西中克之
小中学校の理科(10)表現力を育てるジグソー法を生かした理科の授業①中学3年「地球と宇宙」 千葉県野田市立福田中学校教諭
柳 勝也
教育の窓(29)高大接続テストに関する批判を考える 教育評価総合研究所代表理事
鈴木秀幸
新しい教育評価の動向/P・E・ニュートン&S・D・ショー妥当性に関する論争:妥当性の適切な使い方に関する意見の不一致と解決策方法 教育評価総合研究所代表理事
鈴木秀幸
教育統計・測定入門(56)潜在変数のパス解析 法政大学教授
服部 環
巻頭言/教育カウンセリングコーナーの特設 NPO日本教育カウンセラー協会相談役
池場 望
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