月刊誌 指導と評価

2017年 9月号
  1. 2017年 9月号 Vol.63-9  No.753  定価:450円
特集
新学習指導要領における指導と評価(3)英語、保健体育、技術・家庭、総合的な学習
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特集

小学校英語

文部科学省初等中等教育局教科調査官  直山木綿子

★平成29年3月告示小学校学習指導要領において、中学年に外国語活動及び、高学年に外国語が導入された。これまで中央教育審議会等で審議され、現行学習指導要領における外国語活動の成果と課題を踏まえての導入である。しかし小学校教員からは不安感と負担感の声が聞かれる。そこで、新学習指導要領に沿った教材を少しでも早く学校に届け、それを基に新小学校学習指導要領における外国語教育の理解を深めていただきたいと思う。本稿では、まず新小学校学習指導要領における外国語活動及び、外国語の目標について解説を行い、新教材の特色について触れる。

中学校外国語

東京都千代田区立九段中等教育学校主任教諭  本多敏幸

★「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力・人間性等」の三つの資質・能力は不可分に結びついており、生徒が興味を持って取り組むことができる言語活動を様々に設定したり工夫したりしながら、生徒の主体的に取り組む態度を養うことが大切です。
★「思考力・判断力・表現力等」を育てるには、文法や語彙中心の指導ではなく、教科書本文の指導を大切にし、本文内容を生徒がもっているこれまでの知識や経験と結び付け、考えたり感じたりしたことを本文の一部を活用して発表させる活動が有効です。
★英語による言語活動を授業の中心に置くことで、生徒も教師も英語を使う場面を増やすことができます。

小学校体育

文部科学省スポーツ庁政策課教科調査官  高田彬成

★中央教育審議会答申を踏まえ、小学校体育科の目標及び内容が改められた。体育科においては、体育や保健の見方・考え方の例を示すとともに、資質・能力の三つの柱に応じた目標と内容が示された。特に、「学びに向かう力、人間性等」についての内容を示した唯一の教科である。指導に際しては、知識と技能を関連付けること、思考し判断したことを他者に伝える表現力の育成が求められること、保健領域の技能の指導が示されたこと、共生社会の実現を図る観点から年齢や性別及び障害の有無等にかかわらず運動をともに楽しむための指導の在り方に留意すること、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善等が課題であると考えられる。

中学校保健体育

福岡県豊前市立角田中学校長  藤田弘美

★現行の『学習指導要領〈保健体育〉』において、「技能」「態度」「知識、思考・判断」として示されてきた内容は、他教科と同様、育成を目指す「資質・能力」から「学習評価」までを一貫として「三つの柱」で整理された。また、指導内容の具体については、12年間を見通し発達の段階を踏まえた現行の『学習指導要領』を踏襲して一層の体系化が図られた。
★保健体育科における「主体的・対話的で深い学び」では、教材や仲間と豊かに関わりながら、「わかる」ことと「できる」ことを往還する学習課程を通して、実生活や実社会で生かすことのできる汎用的な力の育成を目指す。
★「何ができるようになるか」を明確にした新しい教育課程においては、「指導と評価の一体化」の充実がこれまで以上に求められる。

小・中学校家庭

広島大学教授  鈴木明子

★教育課程の考え方の転換の中で家庭科独自の資質・能力を追究することが求められている。そこで家庭科の背景学問に根ざした学習内容や学習対象の捉え方を踏まえて家庭科で育成する資質・能力を探る。生活の営みを総合的に捉えて日々の生活の営みを主体的に判断し実践できる能力、明日の生活環境・文化を創る資質・能力育成のためには、家庭科はコンピテンシーベイスのカリキュラムへの転換が図られるべきである。その中で「生活の営みに係る見方・考え方」から家庭科が目指す生活の在り方や学習内容及びそれらを捉える視点を効果的に意識させることができる。4視点を働かせて学ぶことは、資質・能力を鍛えるための生活概念の形成や、よりよい生活を工夫することにもつながる。

中学校技術

長崎大学教授  藤木 卓

★中学校技術・家庭科及び同(技術分野)において生徒に身に付けさせる資質・能力を、学習指導要領の目標の記述から「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力・人間性等」の三つの柱にそって概説するとともに、その前提となる技術の見方・考え方について紹介している。また、「D情報の技術」における「ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミング」を取り上げ、「知識・技能」や「学びに向かう力・人間性等」に加えて、アクセスカウンターの例による「思考力・判断力・表現力等」を育成する学習指導のイメージを紹介するとともに、これら資質・能力の評価に関する考え方を提示している。

小・中学校総合的な学習の時間

甲南女子大学教授  村川 雅弘

★総合的な学習の時間の目標にも育成を目指す資質・能力を踏まえて3つの資質・能力が示された。1つ目の「生きて働く知識・技能の習得」に関してはそれ自体が目的化しないように配慮すべきである。しかし、実際に主体的・対話的で深い学びを通して探究的な活動を展開していく上では、豊かな体験に基づいた知識を核とした事実的な知識及び教科等で身に付けた知識や技能の活用が必要となる。
★また、深い学びの実現においては子供一人一人が単元や年間を通して自己の成長とその要因を振り返ることが重要である。自信や自尊感情の向上に繋がるだけでなく、3つ目の資質・能力である「学びに向かう力」、つまり、新たな学びへの意欲や期待を引き出すこととなる。

連載

QUを活用した学級づくりと学力向上(6)市内に教育実践の基盤をつくる-魚沼市温かい学級づくり支援事業 新潟県魚沼市教育委員会統括指導主事
伊佐貢一
合理的配慮が求められる時代の特別支援教育(6)LD(学習障害)などの学習困難児の特徴と支援 聖徳大学教授
東原文子
役に立つ教育カウンセリングの技法(6)挫折の乗り越え方(強い心を育てる) 北海商科大学教授
大友 秀人
教えて考えさせる授業(12)「教えて考えさせる授業」を導入する学校・自治体の変化 東京大学名誉教授・帝京大学中学校高等学校校長
市川 伸一
新教育課程の評価を考える(2)評価の過去・現在・未来 教育評価総合研究所代表理事
鈴木秀幸
教師力アップセミナー(6)教師力を高めるためのセルフコーチング 京都文教大学准教授
大前暁政
コミュニケーション能力育成としての英語教育(4)小学校の外国語教育-担任一人で授業を行う際の留意点について 国立教育政策研究所名誉所員
渡邉 寛治
小中学校の理科(15)地域の教育資源を生かした理科の教材開発とカリキュラム開発 前千葉県野田市立みずき小学校長
大関 健道
私のカウンセリング道程を語る(6)アメリカ留学-メリル・パーマー研究所 NPO法人日本教育カウンセラー協会会長
國分康孝
NPO法人日本教育カウンセラー協会理事
國分久子
教育統計・測定入門(59)成長曲線モデリング-曲線的変化の記述 法政大学教授
服部 環
教育の窓(32)パフォーマンス評価 教育評価総合研究所代表理事
鈴木秀幸
巻頭言/世間語「評価」の追放を 文教大学学園長・応用教育研究所所長
石田 恒好
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