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特集
❶令和7年度全国学力調査の分析/令和7年度全国学力調査の概要
❶令和7年度全国学力調査の分析/小学校国語
★図表などを用いた書き表し方の工夫や、言葉の由来や変化などの指導事項に関し、学習成果がうかがえる。
★話すこと・聞くことでは聞きたいことを相手から引き出す意識を育むこと、書くことでは複数の情報を吟味し詳しく書くこと、読むことでは文章全体の構成を捉えて要旨を把握することと文章と図表などを結び付けるなどして必要な情報を見付けることなどが課題として挙げられる。
❶令和7年度全国学力調査の分析/中学校国語
★中学校国語で特に正答率が低い設問を検討していくと、4つの弱点・課題が見えてくる。説明的な文章・スピーチについては、第一に「具体的」に捉える力の弱さがある。第二に図表と本文との対応関係を厳密に把握する力の弱さ、第三に重要な「この一文のこの語句」にフォーカスする力の弱さがある。物語・小説については、作品を構造的に捉え、その構造の特徴や効果をメタ的・評価的に捉える力が弱い。
❶令和7年度全国学力調査の分析/小学校算数
★算数科では、日常の事象及び数学(算数)の事象をめぐる数学的活動場面での出題により、児童の数学的な知識・技能や思考力・判断力・表現力が評価された。結果として、分数の数直線上での表現や台形の弁別など、基本的な概念の理解に課題がみられた。また、異分母分数の通分の考え方の説明や多角形の面積を基本図形に分割して求める方法の説明などにも課題がみられた。
❶令和7年度全国学力調査の分析/中学校数学
★数学科では、基本的な知識・技能に関して一定の理解が見られたが、用語理解や直観から論理への展開、問題解決の見通しを立てる力に課題が残った。特に、一次関数とみなして予想する問題や直観を働かせながら式を読む問題等に見られるように、複雑な問題における解法の計画性の不足や直観的予想を論理的に説明する困難さが指摘される。問題解決の流れを大局的に捉えながら、直観から論理への流れを軸とした授業が求められる。
❷感性と生き方の教育/思想や宗教に関するリテラシー教育とカルト対策
★教育基本法改正により、十五条一項に「宗教に関する一般的な教養」が挿入された。「宗教教育」に「宗教知識教育」が含まれることが条文上も明確になり、宗教リテラシーや宗教リスク教育も「一般的な教養」に含まれると解釈することも可能となった。カルト的宗教団体にまつわる事件があとをたたない現状にあって、カルト被害の対策や予防効果が大きい宗教リテラシー教育の推進は、もはや「待ったなし」である。
❷感性と生き方の教育/仏教的人間観に基づく感性と生き方の教育
★仏教ではすべてのものは実体として存在するものはなく、人間存在も「火」のように絶え間なく姿を変える意識の流れにほかならないと説いている。このような仏教的人間観に基づいた感性と生き方の教育とは、自分が自分の人生の主人公となってありたいように生きるために、自分の人生の中で出会った問題をありのままに受けとめることを通して、自己実現を図っていくことができるようにする教育である。
❷感性と生き方の教育/キリスト教的人間観に基づく感性と生き方の教育
★魂の居場所を定めないで漂流する「スピリチュアリティ」が、カルト教団に取り込まれやすい状況、異文化・他宗教を背景にもつ人々との分断を生むことにつながっている現状がある。これに対応するリテラシーとして、教育は何ができるかが大きな課題である。自己の生き方を支えるもの(思想信条/宗教など)、自分自身と他者に対する感受性、批判的思考力等を、いかに身につけることができるかを考えたい。
❷感性と生き方の教育/「見えない何か」を大切にする感性と生き方の教育-「精神性」を核として
★世界的に自らを称して「NOTRELIGIOUS BUT SPIRITUAL」と言う人々が増えている。特定宗教の信仰をもってはいないが、人間を超えた「見えない何か」とのつながりの中で「みずからの精神性を高めて生きていきたい」と願う人々が増えているのだ。「見えない何か」からの視線に応えて生きようとすることで、人間の精神性は高まり、奮い立つ。「真正な精神性」をカルトや怪しいスピ系から区別する基準で重要なのは「依存を助長せず自立を促すこと」「理性的思考や対話に開かれていること」の二点である。
❷感性と生き方の教育/学校の授業で、宗教と社会にかかわる問題をどのように扱うか
★学校では、宗教的背景をもつ児童生徒に、様々な配慮が実施されている。そして授業では、「宗教と社会」教育が構想・実践されている。一方で、米国では保護者の信教の自由を認め、宗教上の理由による授業の欠席を認める判決が出されており、児童生徒が、学校で多様な考えを学ぶ機会が制約されることが懸念される。そこで、医療分野の輸血拒否への対応策を参照し、宗教と社会にかかわる授業づくりに活用する。
連載
| 巻頭言/いのちを支えているもの | 東京学芸大学名誉教授 河野義章 |
|---|---|
| 次期教育課程における学習評価の改善策はこれだ!(8)総則・評価特別部会の資料から学習指導要領の構造化にまつわる問題点-中核的な概念等- | 教育評価総合研究所代表理事 鈴木秀幸 |
| カリキュラム・マネジメント推進における校長のリーダーシップ(8)日々の授業参観と対話を通して教師を育てる | 甲南女子大学教授 村川 雅弘 |
| 非認知能力を育てる心理教育ー子どもたちの自立的で協働的な学びを支えるー(3)心理教育の各論(1)ー構成的グループエンカウンター(SGE)ー | 元創価大学大学院教職研究科准教授 大関 健道 |
| 続・算数科で育てる「思考・判断・表現」する力 数学的な見方・考え方を引き出す教材(2)式を形に置き換えて考えるーピラミッドの形に並ぶ数の和ー | 明星小学校副校長・前筑波大学附属小学校副校長 夏坂哲志 |
| コーチングに学ぶ「対話力」(7)任せる文化を創るコーチング | 「教と育」研究所代表 内藤睦夫 |
| つなぐ・つながる支援(9)子ども・若者のための居場所支援ー地域(私たち)ができることー | ピア・サポートハウス「ペンギン」代表/臨床心理士・公認心理師 鈴木由美子 |
| データで読み解く子どもたちのいま(4)中学生の睡眠実態と社会的時差の課題ー最新調査データから見える現状と対応の方向性ー | 昭和医科大学医学部教授 池田裕一 |
| 通常学級の特別支援教育(2)インクルーシブな指導行動とその背後にある指導意識 | 神奈川県立保健福祉大学教授 深沢 和彦 |



